恋人はご主人様
―運と偶然
頭を動かさずに、とにかく目の前の作業に没頭する。
もうどれくらいやったんだろう…。
「はっ…今頃、どうなってんだろうな…」
「…考えたって、仕方ないですよ。
やりましょう」
「…そう、だな」
チャンスはもう、今日しかない。
僕と河谷くんは、ある山で土を掘ってる。
突き止めた情報によれば、ここら辺にデータが埋まってるはず。
今日見つからなかったら…諦めるしか、ない。
また作業を再開するけど、どうも当たりが来ない。
「はぁ…」
ため息を吐いた、そのときだった。
聞こえてくるはずのない声が、耳に入ってきた。