恋人はご主人様
「むーさん?誰それ?」
うん、間違いない…絶対むーさんだ。
「むーさんはアイリッシュ・セッターの犬ですよ」
「犬かよっ!?」
バシンッと頭に衝撃が走る。
手が早い…。
少しずつ、昔の自分に戻っていく。
いやいや…だめだ、落ち着け。
落ち着いてるけど。
「…そういえば、そんな犬飼ってるとか言ってたような…」
「やっぱり。なら池沢くんは僕の知り合いでもありますよ」
「まじかよ!?」
ほんとに失礼だな…。
まず礼儀がなってないし。
「はい、ですから…びっしばっし鍛えさせて頂きます」
「げっ…!」
細かいことは会ったときに聞けばいいですよね…。
いつも絢菜さんといるから、何となく女らしいってことはわかるし…。
何とかなる、でしょう。