立志伝
「……の!―………た…!」
「「?」」
二人が何事かと振り向くと、
「高杯様〜!」
見れば一人の童子が裾を翻しながらこちらに駆けてくるのが見てとれる。
「何事だ?」
「ハァッ、はい、高杯様にハッ、御用がありまして、ハァ…。」
余程急いだのか童子は息が切れている。
「だそうだ。」
てっきり玖葛への用だと思っていたため少し驚きつつ童子に近づく。
「私に何用です?」
「はい、王がお話がおありだそうです。」
呼吸も大分落ち着いたのかすらすらと用件を伝える。
「分かりました。言付けご苦労。」
「いえ!私の仕事ですので!」
「玖葛様、」
「ああ、行くんだろう?」
「はい、申し訳ございません。途中でしたのに…。」
「私は構わないよ。それよりお前が父上から怒られるといけない。早く行った方がいい。」
「では下がらせていただきます。」
「ああ。今日は案内ご苦労様。また頼む。」
それを聞くと、高杯は一つ頭を下げ踵を返した。
と、