立志伝
「ああ、そういえばそなた。」
「は、はい!!」
高杯にいきなり声を掛けられ飛び上がらんばかりの童子。
「宮中では走らず歩きなさい。」
そう言い残し颯爽と歩いて行く高杯。
その後ろ姿を見ながらぽかんとした顔をしている童子を見て堪らずといった様子で笑い出した玖葛。
「ハハッ!クス、ハァ、」
「玖葛様、」
「ん、面白い奴だろう?そんなに気にする事は無いさ。次から気をつければいい。」
「はい、気をつけます。」
童子が帰った後も庭園には玖葛の姿があった―――
(それにしても高杯は姑のような事を言うな…クス)