立志伝
――それは昨日の事
「架藍様、どうぞ。」
「ああ、月を長めながら酒を飲むのもいいものだな。」
「佐用でございますか。」
「……明日だ、」
「は?何がです?」
「玖葛、」
「!!…では行かれるのですね。」
「ああ、明日会いに行く。私を見たらあれはどんな顔をするだろう…ハハ、今から楽しみで仕方がない。」
「それは何よりでございます。」
「この時世に生まれなければ幸せにあれただろうものを。だが情けなど無用、いらぬ芽は早くに摘んだ方がいい…。」
▼▼▼▼
そんなやり取りがあったとは露知らず、玖葛は架藍の顔をしげしげと見つめた。
(一体何の用があるというのだ。祭事の事を言いに来たならばもういいだろうか…)
「叔父上」
「何です?」
「私はこの辺で下がらせていただきます、では。」
「待ちなさい。」
「…?」
「玖葛、」
「はい?」
「そなたは…、?あれは霞草…」
「ああ、あれですか。綺麗でしょう?高杯が世話をしているのですよ。」
「知っていますよ。兄上のお側にいらっしゃる方ですね。」