立志伝


翌朝


「王、本日はお顔色がよろしいですね。何かありましたか?」


いつもは執務中に必要最低限の事しか口にしない高杯が自ら声をかけてきたのだ。


いくら厳格な側官といえど近頃の王の異変を気にかけていたのだろう。


その声音には労りの響きも含まれていた。


しかし直接身を案ずる声をかけなかった所は堅物らしいと言うべきか‥。


「大事ない。最近あまり寝ていなかったからだろう。気を使わせたな。」


「作用ですか。気を使わせたなどど王が気になさる事ではありません。では。」

高杯はそう言うといつもの無表情でその場を下がった。
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