イケメン伯爵の契約結婚事情

「至って普通ですよ。朝焼きのパンに、かぼちゃのスープ。鶏肉のソテーと野菜の付け合わせです」

「あとミルクも飲みましたわ」

「皆で食べていたし、おかしな動きをするものがいれば、すぐにわかるはずなのに」

「そう」


状況的に、食事に怪しいことはなさそうだ。
たまたまメラニーの体調的に食べ合わせが悪かっただけなのだろうか。


「そういえば」


カールは一行を廊下に誘い出し、辺りを確認してからエミーリアに耳打ちする。


「旦那様には先に報告しましたが、毒性の芋というのもやはりこの屋敷では一度も見たことがありません。小麦粉など、粉類も確認しましたが、入荷先の判別しないものはありませんでしたし、粉類は逆に入荷量が少ないものは目立つので、見落としてもいないと思うのですが。他の食材も、食糧庫に残っているものもすべて確認しましたが、不審なものはありませんでした」

「そう、ありがとう」


であれば、この屋敷内は安全なのだろうか。もしくはアルベルト自身が自室にそれを隠しているか。けれど部屋の清掃として侍女は部屋の出入りをしているはずだ。不審なものがあれば気づきそうなものだが。
< 115 / 175 >

この作品をシェア

pagetop