イケメン伯爵の契約結婚事情
「仲睦まじいところ申し訳ありませんが、朝食の時間です。先ほどからメラニーが困っておりますよ」
続き間の入り口では着替えを手に持ったまま顔を真っ赤にしているメラニーがいた。
「そんな時間か」
内心恥ずかしさで死んでしまいそうになっているエミーリアの顔をベッドカバーで隠し、フリードはその鍛えられた半身をあらわにした。別の意味でメラニーが照れて騒ぎ始めるが、ディルクは主人の顔を確認し、にっこりと笑った。
「ずいぶん顔色がよくなられましたね。奥方様と一緒だとよく眠れましたか」
「ああ、そうだな。これからはここで寝るよ。……五分待て。すぐ起きる」
フリードは引きつり笑いを返しつつ、ふたりが一度部屋から出て行ったのを確認して立ち上がる。
「残念だが朝が来たようだ。起きろ、エミーリア」
ベッドカバー越しに、頭にキスをされる。
つづけて投げられた着替えに袖を通しながら、改めて体に散らされた昨日の痕を見つけ、やっぱり一人で身もだえするエミーリアだった。