イケメン伯爵の契約結婚事情
*
目の前のテーブルには、朝だというのにたくさんの皿が並んでいる。
毒の危険性がなくなり、久しぶりに広間で食事をとっているのだ。
「こんなには食べられないと俺は言わなかったか?」
「すみません。うれしくてつい」
頭をかくのはカールだ。せっせと出来たての料理を運んできては、歓声をあげるエミーリアを嬉しそうに眺めていく。
「食べきれないならディルクにも一緒に食べてもらいましょうよ。どうせそこで立っているだけじゃないの」
「いえ、奥様。私にはそのようなことは」
恐縮するディルクに、フリードは笑いながら席に着くように言う。
「諦めろ、ディルク。エミーリアは言い出したらきかないよ。さっさと座って料理を減らしてくれ」
「しかし」
「メラニーもトマスもお座りなさいよ。カールの料理はおいしいわよ」
言われて、ふたりも困ったように頭をかく。
「お先にどうぞ、メラニー」
「や。恐れ多くて食べられませんわ、私」
ぶんぶんと首と手を振って恐縮する侍女に、フリードがやんわりと笑いかける。
「じゃあ君には俺の妻を楽しませる役目を命じようか。楽しい話を聞かせてほしいんだろう? なあ、エミーリア」
「ええ、だからここに座って、メラニー」
「もう、あり得ませんわ。息が合いすぎですお二人とも」
真っ赤になって困るメラニーに、助けの手は予想外のほうからやってきた。
「あ、あの、侍女殿はこちらを手伝っていただけませんか?」
緊張した様子で上ずった声を出したのはカールだ。
途端にメラニーの顔が晴れ渡る。
目の前のテーブルには、朝だというのにたくさんの皿が並んでいる。
毒の危険性がなくなり、久しぶりに広間で食事をとっているのだ。
「こんなには食べられないと俺は言わなかったか?」
「すみません。うれしくてつい」
頭をかくのはカールだ。せっせと出来たての料理を運んできては、歓声をあげるエミーリアを嬉しそうに眺めていく。
「食べきれないならディルクにも一緒に食べてもらいましょうよ。どうせそこで立っているだけじゃないの」
「いえ、奥様。私にはそのようなことは」
恐縮するディルクに、フリードは笑いながら席に着くように言う。
「諦めろ、ディルク。エミーリアは言い出したらきかないよ。さっさと座って料理を減らしてくれ」
「しかし」
「メラニーもトマスもお座りなさいよ。カールの料理はおいしいわよ」
言われて、ふたりも困ったように頭をかく。
「お先にどうぞ、メラニー」
「や。恐れ多くて食べられませんわ、私」
ぶんぶんと首と手を振って恐縮する侍女に、フリードがやんわりと笑いかける。
「じゃあ君には俺の妻を楽しませる役目を命じようか。楽しい話を聞かせてほしいんだろう? なあ、エミーリア」
「ええ、だからここに座って、メラニー」
「もう、あり得ませんわ。息が合いすぎですお二人とも」
真っ赤になって困るメラニーに、助けの手は予想外のほうからやってきた。
「あ、あの、侍女殿はこちらを手伝っていただけませんか?」
緊張した様子で上ずった声を出したのはカールだ。
途端にメラニーの顔が晴れ渡る。