イケメン伯爵の契約結婚事情
6.山中でのやりとり
部屋に一緒に戻ると、すでにディルクがメラニーとともにテーブルを整えていた。
メラニーは嬉しそうに「奥様ったら一も二もなく旦那様に会いに行ったんですよ」と余計なことまで口走っている。
エミーリアは咳ばらいをして黙らせ、食事に向かい合った。
今日は焼き立てのパンとスコッチエッグとサラダとホットミルクだ。
「私、実はホットミルクは苦手なのよね。でもね、カールに聞いてハチミツを入れてみたの。そうしたら美味しかったわ」
「そうか。エミーリアは甘いものが好きなのか?」
「ええ。でもハチミツはうちの領土では貴重なのよ。ほとんど流通してなかったわ」
「なんだ。じゃあベルンシュタイン家に売り込みをかけようか。うちの領土は養蜂は盛んだぞ」
「お花も多いものね。どうやってとるの?」
前のめりになったエミーリアに、フリードは目を泳がせ、咳ばらいをする。
「そうだな……今度教えてやる」
「今じゃダメなの」
「ダメだ」
にべもなく断られてシュンとしているとディルクが助け舟を出す。
「エミーリア様、察して差し上げてください。フリード様も詳しくは知らないんですよ」
「こら、ディルク」
「本当のことじゃないですか。ハチミツの生産方法など、あなたに聞かれたことは一度もありません」
見る見るうちにフリードの頬が染まってくる。初めて見た夫の平静を崩す姿に、エミーリアは笑い出してしまった。
メラニーは嬉しそうに「奥様ったら一も二もなく旦那様に会いに行ったんですよ」と余計なことまで口走っている。
エミーリアは咳ばらいをして黙らせ、食事に向かい合った。
今日は焼き立てのパンとスコッチエッグとサラダとホットミルクだ。
「私、実はホットミルクは苦手なのよね。でもね、カールに聞いてハチミツを入れてみたの。そうしたら美味しかったわ」
「そうか。エミーリアは甘いものが好きなのか?」
「ええ。でもハチミツはうちの領土では貴重なのよ。ほとんど流通してなかったわ」
「なんだ。じゃあベルンシュタイン家に売り込みをかけようか。うちの領土は養蜂は盛んだぞ」
「お花も多いものね。どうやってとるの?」
前のめりになったエミーリアに、フリードは目を泳がせ、咳ばらいをする。
「そうだな……今度教えてやる」
「今じゃダメなの」
「ダメだ」
にべもなく断られてシュンとしているとディルクが助け舟を出す。
「エミーリア様、察して差し上げてください。フリード様も詳しくは知らないんですよ」
「こら、ディルク」
「本当のことじゃないですか。ハチミツの生産方法など、あなたに聞かれたことは一度もありません」
見る見るうちにフリードの頬が染まってくる。初めて見た夫の平静を崩す姿に、エミーリアは笑い出してしまった。