イケメン伯爵の契約結婚事情
「エミーリア様、入浴の用意ができたそうです。女将に手伝いをお願いしますか?」
「いいえ。旅先でくらい一人でできるわ」
「ではそのようにお伝えしまうので支度をなさってください」
メラニーが詰め込んでくれた着替えを探し出し、手にもって移動する。
「じゃあ行ってくるわね」
「ああ、ゆっくりしてこい」
(こっちを見もしない)
ふてくされた気分で風呂に行き、戻ってからもフリードはまっすく顔を合わせないまま、「今日は疲れた」と早々に寝てしまう。
契約の花嫁だということは最初っから分かっていたはずなのに、どうしてこんなに気持ちになるのか。
エミーリアは変わっていく自分の気持ちについていけなかった。