イケメン伯爵の契約結婚事情


その日、一行は叔父の有する領土に向かった。

何か不正の証拠をと意気込んできたものの、そこから突然景色が変わるわけでもない。
相変わらず畑や家が点在し、汗水たらして働く人々がいる。

遠くに見える一際豪華な屋敷がアルベルトの屋敷なのだとフリードが説明してくれた。


「この一帯は叔父の所有地だ。さらに西と北に縁戚の貴族の所有地があるが、まとめて叔父の管理地という扱いになっている。今のところ、これらはすべて俺が二十歳になったときに俺が一括管理するという話になっているが、反対しているのが叔父だ。今まで通り自分の管理地として扱いたいと申し出ていて、それを反対する俺と対立しつつある、という構図だ。分かってるか?」

「分かっている……と思うわ」


改めて説明しなおされると、以前より人間関係を把握したからか理解しやすい。
つまり、アルベルトは自分の所領を含めた管理地を独立した領地のように扱いたいのだろう。


「でもそれは、フリード的にはよくないのよね?」

「……代々の領主から受け継ぐ土地だ。勝手にされるのは気分のいいものではないな。叔父が全くのクリーンであるならばそれもいいかとも思うが、明らかに何か隠しているしな」

「それが富を生み出すものでも?」


高額で取引されるという花。
実物が分からないのはやきもきはするだろうが、それに関する利益はいくらかはフリードの元にも入るはずだ。

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