HANABI
なんてもっともらしい言葉。
その通り。
その通りだよ。
だけど、だけど!!
それは、理由にならないんだってば。
「でも、あたしは粟生が好きなんだもん…。」
それじゃ、ダメ?
それだけじゃ足りないの?
…こんなに好きなのに。
「粟生のバカ。」
「先生に向かってバカとはなんじゃ。」
コツン、と優しいげんこつがあたしのおでこに当たる。
あーあ、もう。
そうやって優しくするから諦められないんじゃんか。
突き放したりも出来ないくせに。
「…じゃあ、わかった。」
「ん?」
呟いたあたしに、進路希望に視線を向けたままの粟生が返事をする。
「あたし、粟生の事諦める。」
「おー。」
「その代わり……。」
その代わり?と顔を上げた粟生があたしを見つめた。