好きだから、思うこと。~連鎖する恋たち~
つか、芙美どこ行った?


教室を見渡す。


トイレ行くって言って…、あ…騙されたな俺。

トイレにこんな時間かかんないし、絶対トイレには行ってない。


ふと、窓の外を見てみたら、雨が降りだして、段々強くなっていった。


「あ…雨だ」

「あ!本当だ~」


結構どしゃ降りだな…。

そういえば、芙美は雨が苦手だったな。


…って、こんなときまで芙美のことを…!


―ガラガラ…。

教室のドアが開いた。


そこにはなぜかびしょ濡れの芙美が死んだ顔で突っ立っていた。


「なにやってんだアイツは…」

「えぇー?何あれ。太田さんびしょ濡れじゃーん。可哀想ーっ」


早く拭かないと風邪はひくんじゃ…!?

でも、芙美って六年間無欠席なんだよな。

見た目ヒョロヒョロなのに、身体は以外と丈夫なんだよ。


…なんて、言ってらんない。


俺は女子グループから抜け出して自分のバックから、スポーツタオルを取り出した。


そっと、芙美に近づいていく。


あーあ。髪びしょ濡れじゃんか。

「はぁ…」


…ほんっと、バカだ。

俺は芙美の頭の上にタオルを被せた。


「なーにやってんだよ」


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