好きだから、思うこと。~連鎖する恋たち~
しばらくして、芙美が戻ってきたと思ったら、なぜかびしょ濡れ。
…なにが、あったの?
「あ!…芙美、だよね…?」
「なんで、濡れてないの…?」
「外出てないし…」
もう、芙美の顔が死んでる…!
そういえば、芙美は雨が大嫌いなんだっけ。
「とりあえず拭こ?タオル持ってくるから、待っててね」
芙美は頭がいいのか、悪いのか分からない。
自分のバックからタオルを取り出す。
…まったく、手が掛かるな。
「可愛いけどさ」
くるっと振り返って席に戻ろうとしたとき。
―ドクンッ。
「あ…」
高島くんが、芙美の頭の上にタオルを被っていた。
「…っ」
しょ、うがないよ。
高島くんは芙美が好きなんだから。
自分に言い聞かせた。
しょうがないしょうがない…と。
少し震えている足を動かし、芙美と高島くんに近づいていく。
楽しそうに話している。
―ドクンッ。
―ドクンッ。