恋する任務は美しい〜メガネ上司の狼さんと訳あり隠密行動〜
あおいさんとともに宴会場から外の廊下を折れた人気のない場所につくと、ようやくひっぱっていた手を離した。
「萌香さん、だめじゃない」
あおいさんは腰に手をあて、単独行動してしまったわたしに対して呆れ、ため息をもらしていた。
「ごめんなさい。わたし、津島につい」
「仕方ないわね。もうここはいいわ。大上部長に伝えておくから。今日は帰って」
「……はい」
あおいさんは宴会場へと消え、わたしは自分の部屋へと戻る。
津島を止めようとしていただけなのに。
『カントク』のみんなに迷惑をかけてしまった。
廊下を通り、ロビーへ向かおうとしていたところだった。
髪の毛をきれいに巻いてゆるやかなロングの髪の毛をなびかせながら長身の男性と一緒に歩く小柄な女性とすれ違う。
あれは確か、野村加奈だけど、隣にいる男は誰なんだろう。
津島じゃないのは確かだ。
目と目を合わせてはお互いに微笑みあっている。
ただならぬ関係なのかなと直感で思った。
隠れるように化粧室へ向かったのだが、見計らって出てきたところで、野村加奈と出会った。
「あれ、あなた、以前どこかで」
「ど、どうも。失礼します」
軽く会釈し、野村加奈から離れようとしたときだった。
「みましたよね?」
わたしの背中に野村加奈が声を浴びせた。
「え、なんのことでしょうか」
立ち止まると、つかつかとヒールの音を立ててわたしの目の前に立ち尽くした。
「もう一人いたこと。亮太さんにしゃべらないでくださいね。椎名萌香さんでしょ。亮太の元カノの」
「……しゃ、しゃべりませんよ」
どういうこと? 津島も野村加奈も二人とも化かしあってるってこと?
「萌香さん、だめじゃない」
あおいさんは腰に手をあて、単独行動してしまったわたしに対して呆れ、ため息をもらしていた。
「ごめんなさい。わたし、津島につい」
「仕方ないわね。もうここはいいわ。大上部長に伝えておくから。今日は帰って」
「……はい」
あおいさんは宴会場へと消え、わたしは自分の部屋へと戻る。
津島を止めようとしていただけなのに。
『カントク』のみんなに迷惑をかけてしまった。
廊下を通り、ロビーへ向かおうとしていたところだった。
髪の毛をきれいに巻いてゆるやかなロングの髪の毛をなびかせながら長身の男性と一緒に歩く小柄な女性とすれ違う。
あれは確か、野村加奈だけど、隣にいる男は誰なんだろう。
津島じゃないのは確かだ。
目と目を合わせてはお互いに微笑みあっている。
ただならぬ関係なのかなと直感で思った。
隠れるように化粧室へ向かったのだが、見計らって出てきたところで、野村加奈と出会った。
「あれ、あなた、以前どこかで」
「ど、どうも。失礼します」
軽く会釈し、野村加奈から離れようとしたときだった。
「みましたよね?」
わたしの背中に野村加奈が声を浴びせた。
「え、なんのことでしょうか」
立ち止まると、つかつかとヒールの音を立ててわたしの目の前に立ち尽くした。
「もう一人いたこと。亮太さんにしゃべらないでくださいね。椎名萌香さんでしょ。亮太の元カノの」
「……しゃ、しゃべりませんよ」
どういうこと? 津島も野村加奈も二人とも化かしあってるってこと?