恋する任務は美しい〜メガネ上司の狼さんと訳あり隠密行動〜
「気になったでしょ? さっきの男」
野村加奈は、わたしの困った態度をみてか、クスクスとあざとく笑う。
「仲良くしてもらっている社長ですよ。もちろん亮太さんが一番だけど」
津島も最低だけど、野村加奈もずいぶんと最低な女だったとは。
「これであなたの疑問は晴れました?」
目をキラキラと輝かせてわたしをみつめてくる。
そういう行動をさっきの自称社長へ向けているのか。
「初対面で悪いんですけど、あたしも疑問があるんです」
野村加奈は甘ったるい声を発し、上目遣いでしたたかさをアピールしている。
「噂で聞いたことがあるんだけど、『カントク』って特別な課なんでしょ」
「ええ。それだけですけど」
「じゃあ、なぜあなたは会社主催のパーティーに潜入できたんでしょう?」
「それは……」
「『カントク』って社内でスパイ活動でもしているんじゃないですか?」
「スパイって」
確かに秘密裏で活動しているけれど、スパイじゃなくて社内の秩序を守ろうと働いているだけなのに。
「どうせ上の命令で動いているんでしょ。あたしだって、受付の仕事なのにどうして宴会場にこれたかって話ですよね。取引しませんか?」
野村加奈の、まつげの奥の瞳がぎらりと光ったように思えた。
「取引?」
「あたしの計画を遂行する代わりに、あなたの素性を明かさない条件で」
「そんな条件って」
「悪くないと思いますけど」
「あたしと組んで篠崎グループをひっくり返す。面白くありません?」
「面白いってそんなことしたら……」
「ずっと『カントク』に縛られて身動きとれないまま仕事を続けるっていうの?」
「それは……」
「そうね、成功したらそれなりの報酬とポジションを用意してもいいわ」
一方的にまくしたてるかのように提案する野村加奈の勢いにおされそうになる。
「まずは篠崎あおいを連れてきて。できるわよね、椎名萌香さん」
野村加奈は声を弾ませている。
困った話になってしまった。
野村加奈は、わたしの困った態度をみてか、クスクスとあざとく笑う。
「仲良くしてもらっている社長ですよ。もちろん亮太さんが一番だけど」
津島も最低だけど、野村加奈もずいぶんと最低な女だったとは。
「これであなたの疑問は晴れました?」
目をキラキラと輝かせてわたしをみつめてくる。
そういう行動をさっきの自称社長へ向けているのか。
「初対面で悪いんですけど、あたしも疑問があるんです」
野村加奈は甘ったるい声を発し、上目遣いでしたたかさをアピールしている。
「噂で聞いたことがあるんだけど、『カントク』って特別な課なんでしょ」
「ええ。それだけですけど」
「じゃあ、なぜあなたは会社主催のパーティーに潜入できたんでしょう?」
「それは……」
「『カントク』って社内でスパイ活動でもしているんじゃないですか?」
「スパイって」
確かに秘密裏で活動しているけれど、スパイじゃなくて社内の秩序を守ろうと働いているだけなのに。
「どうせ上の命令で動いているんでしょ。あたしだって、受付の仕事なのにどうして宴会場にこれたかって話ですよね。取引しませんか?」
野村加奈の、まつげの奥の瞳がぎらりと光ったように思えた。
「取引?」
「あたしの計画を遂行する代わりに、あなたの素性を明かさない条件で」
「そんな条件って」
「悪くないと思いますけど」
「あたしと組んで篠崎グループをひっくり返す。面白くありません?」
「面白いってそんなことしたら……」
「ずっと『カントク』に縛られて身動きとれないまま仕事を続けるっていうの?」
「それは……」
「そうね、成功したらそれなりの報酬とポジションを用意してもいいわ」
一方的にまくしたてるかのように提案する野村加奈の勢いにおされそうになる。
「まずは篠崎あおいを連れてきて。できるわよね、椎名萌香さん」
野村加奈は声を弾ませている。
困った話になってしまった。