恋する任務は美しい〜メガネ上司の狼さんと訳あり隠密行動〜
勝手に行動したわりにさらに条件をつきつけられるだなんて。
帰り間際に野村加奈と連絡先をかわし、その日はそれで終わった。
パーティーが終わった次の週の月曜日、『カントク』特別班の部屋への足取りがものすごく重かった。
朝、特別班にはあおいさんの姿はなく、大上部長と戸塚さん、鈴井さんがいた。
大上部長の顔をみただけで、野村加奈との取引を思い出す。
あれはわたしの問題だから、大上部長にいったところで何ができるのだろう、と。
給仕係として出向していたので伝票がたくさんたまっていた。
自分のパソコンの前に座り、ひとつずつ処理をしていく。
珍しくキーボードを打つ手が遅かった。
特に大上部長や戸塚さん、鈴井さんと話すこともなく、黙々と作業を続ける。
お昼をはさんでも食欲はなく、ぼんやりと特別班の部屋から外を眺めていた。
午後になって戸塚さん鈴井さんとともに席をはずしていた大上部長は書類を机の上に置いたまま、わたしのもとへと近づいてきた。
「どうかしたのか、椎名萌香」
「え、いえ」
大上部長はダンボールの中をのぞいてから、じろりと白い目でわたしをみつめた。
ダンボールにつまった書類の束が今日に限って処理が滞っている。
「珍しいな。いつもならすぐに片付けられる仕事なのに」
「な、なんでもありません。あの、あおいさんは?」
「出張だ」
「え?」
わたしの驚きに大上部長のメガネの奥の目が鋭く光った。
「あおいに何か用か?」
「え、別になんでもありません」
「その顔は何か隠しているはずだ」
「ここじゃあ話にならないってことか?」
「部屋に戻れ。これは命令だ」
そういうと、戸塚さんと鈴井さんはわたしの席に近づき、ダンボールとパソコンを勝手に片付けた。
「あ、あの、まだ処理が」
「そんな調子で仕事をしても効率が悪い。指示に従え」
大上部長は音をたてて椅子に座る。
部屋の空気が重苦しくなったので、しかたなくカバンを持って自分の部屋へと戻った。
帰り間際に野村加奈と連絡先をかわし、その日はそれで終わった。
パーティーが終わった次の週の月曜日、『カントク』特別班の部屋への足取りがものすごく重かった。
朝、特別班にはあおいさんの姿はなく、大上部長と戸塚さん、鈴井さんがいた。
大上部長の顔をみただけで、野村加奈との取引を思い出す。
あれはわたしの問題だから、大上部長にいったところで何ができるのだろう、と。
給仕係として出向していたので伝票がたくさんたまっていた。
自分のパソコンの前に座り、ひとつずつ処理をしていく。
珍しくキーボードを打つ手が遅かった。
特に大上部長や戸塚さん、鈴井さんと話すこともなく、黙々と作業を続ける。
お昼をはさんでも食欲はなく、ぼんやりと特別班の部屋から外を眺めていた。
午後になって戸塚さん鈴井さんとともに席をはずしていた大上部長は書類を机の上に置いたまま、わたしのもとへと近づいてきた。
「どうかしたのか、椎名萌香」
「え、いえ」
大上部長はダンボールの中をのぞいてから、じろりと白い目でわたしをみつめた。
ダンボールにつまった書類の束が今日に限って処理が滞っている。
「珍しいな。いつもならすぐに片付けられる仕事なのに」
「な、なんでもありません。あの、あおいさんは?」
「出張だ」
「え?」
わたしの驚きに大上部長のメガネの奥の目が鋭く光った。
「あおいに何か用か?」
「え、別になんでもありません」
「その顔は何か隠しているはずだ」
「ここじゃあ話にならないってことか?」
「部屋に戻れ。これは命令だ」
そういうと、戸塚さんと鈴井さんはわたしの席に近づき、ダンボールとパソコンを勝手に片付けた。
「あ、あの、まだ処理が」
「そんな調子で仕事をしても効率が悪い。指示に従え」
大上部長は音をたてて椅子に座る。
部屋の空気が重苦しくなったので、しかたなくカバンを持って自分の部屋へと戻った。