【短ホラー】そのページのむこう
フルホンヤ
気付いたら彼女は走り出していた。

無我夢中で風を切る。


知らずにその足は彼女の自宅とはかけ離れた方向に向かっていた。



「ハァ…ここ、どこ?」

しばらく経って、彼女がいた場所は見たことのない路地だった。

まわりの風景はいつもの道とそう変わらないが、見慣れない家々が建ち並んでいた。



ペタペタ……

まいたと思っていた足音が遠くから聞こえた気がした。



(あっ!)

彼女の目の横に茶色い光がちらついた。



反射的にその中へ彼女は逃げ込んだ。
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