【短ホラー】そのページのむこう
私は高校生で、娯楽と言えば漫画、本、テレビドラマ……

下校途中に寄る古本屋での立ち読みは、私の少ない趣味の一つだった。

今日はたまたま手に取ったホラー小説に、ずいぶんとのめり込んでしまった。


ちらりと開かれたページを見る。


ああ、先が気になる!

でも……

目の端にうつる暗い道。
早く帰らないと家に入れてもらえないかもしれない。


しかし気になる……ああもう、悩んでるくらいならさっさと読もう!

どうせあと数ページだ。


薄い残りページを見て私は母の説教の延長を覚悟した。


「あとちょっとしたら帰りますから」

せっかく親切に言ってくれたけど、と申し訳なく思いながらも私はその中年の店員に言った。
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