【短ホラー】そのページのむこう
「駄目だよ、君」

「でもちょっとなんで」

意外にしつこいおじさんに私は苦笑いで返した。



「その続きが気になるの?」

「え……?」

おじさんの声がストンと低い声に変わった気がした。




「君は続きを読めないのに」


手に持っていた本が、バサァと擦れる音をたてて床に落ちる。

私の体は金縛りにあったように動かなかった。




折るような勢いで締め付けた。



私の首を。




その真っ黒な冷たい手が。
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