クラリネット吹きはキスが上手いのかという問題について
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で、ただいま、2人であたしの顔馴染みの定食屋さんに来てる。
おいしいし、栄養バランスいいし。
落ち込んだ時には、ちゃんと栄養とらないとね。
とはいえ。
「あたし、非正規労働者なので、お役に立てないと思うんだけど……」
「社会人としての先輩であることに変わりはありません。お話できるだけで勉強になりますし、楽しいので」
と言いながら、彼は上着を脱ぎ、ネクタイを緩め、第1ボタンを外して、腕まくりをした。
……やっばい。
ドキっとした。
生でネクタイ緩めとか、ずきゅんとくる。
あたしってばどれだけスーツフェチなんだよ、と再び自分にツッコむ。
「お待たせしました〜」
料理を運んできてくれたのは、ビオラの大先輩、和歌子さん。
「灯里ちゃんが麻生くん連れて来てくれるなんて、うれしいわぁ〜。麻生くんもすっかりスーツ姿が板についたね。素敵っ!」
恥ずかしそうに笑う麻生くん。
「着こなす研究しました」
なんて答えてる。
以前の彼なら引いてもおかしくないマダムのテンションなのに。
頑張って返すようになったのね。
その一生懸命な感じ、嫌いじゃない。
むしろ好感が……って、あれ?
待て待て。