クラリネット吹きはキスが上手いのかという問題について
あたしの二の腕をつかむ力が強まって、少し緊張した彼の顔がゆっくり近づいてくる。
ここで余裕ぶっこいてる表情だったら引いてたけど、やっぱり年相応に緊張してるのは好感が持てる。

近づくにつれ、まぶたが伏せられる。

意外と色っぽい表情するんだ。

あー久々だなぁ、このドキドキ感。


あたしも瞳を閉じた。



ふわっと、柔らかいものが唇に触れた。

優しく、丁寧に、軽いキスが繰り返される。
ちゅっ、ちゅっ、という音がくすぐったい。

あー、気持ちいいかも。


そして、次第に圧力が増してくる。

でも、優しくて、丁寧なのは変わらない。

好き、の気持ちが伝わってきて、うれしい。

あー、いいなぁ、こういう気持ちが伝わってくるキス。


うっとりしていると。
ペロリ、と唇を舐められた。

途端、快感が背筋を通り抜ける。

でも、わざと、口は開かなかった。

彼は焦るでもなく、ゆっくりと、私の唇を舌でなぞっていく。

うわぁ!
い、いやらしい舌使い!
絶妙な力加減と、動かし方。
これか、これなのか、クラリネット吹きの自信⁉︎
< 21 / 24 >

この作品をシェア

pagetop