クラリネット吹きはキスが上手いのかという問題について
お互いの境目がわからなくなるくらい、お互いの唇と舌を貪り合う。


気持ちいい。

もっと。


彼の手があたしの背中と頭の後ろに回され、上半身が密着する。


気持ちいい。

もっと。
もっと。
もっと。


あー、これはカンペキに確定だ。
君が欲しいよ。
君をあたしだけのものにしたい。







先に唇を離したのは、彼からだった。


あたしも、我に返って身体を離す。


こんなに夢中でキスしたの、久々だ……。
時間も場所も忘れるなんて。


彼は恥ずかしそうに、唇の周りの唾液を手の甲で拭って、それから困ったような笑顔を浮かべて、息を切らすあたしの唇の周りも親指で拭ってくれた。

うひゃっっ。
その感触でさえ、身体がズキンと疼く。


「灯里さんには負けました」

あ。やばい。やり過ぎた?

「ごめんっ、引いたよねっ、はしたないよねっ」

「いえ、そうではなくて、気持ちよすぎて、止まらなくなりそうなので、勘弁してください……。お持ち帰りしたくなります」

「勢いでそーゆーこと言って、後悔しても知らないよ?」

「後悔なんかしませんし、させません」

「麻生くんって、意外と自信家だよね」
< 23 / 24 >

この作品をシェア

pagetop