復讐の女神

第1章

不思議な女性

夢の中で七瀬ゆりは幼い少年の話に耳を傾けていた。

「大きくなったら学校の先生になりたいな」

その夢が叶わないということを彼女は知っていたが
夢の中の彼女も彼と同じく幼くて
「きっとなれるよ、涼くんは優しいからきっと良い先生になれる」と
言っていた。

突然夢から冷めたゆりは彼のいない現実に戻り一筋の涙を流した。

「今日で30年…やっとこの時が来たのね。」

そう言うと彼女は早速出掛ける準備を始めた。

今日から彼女は新しい職場で働くことになったのだった。


その頃、ゆりが働くことになる部署で片山課長がみんなに話をしていた。

「今日から新しい人が2名が入ることになった。
2人の仕事は主に石井と山田のアシスタントだ。」

課長がそう言い終えると石井が口を開いた。

「あー派遣社員雇うって言ってた話っすね！ってか、女性ですか？」と軽々しい口調で聞いた。
上司に対する態度としては失礼に感じるかもしれないがこの職場は風通しが良く
和気藹々としているためそのような態度を部下がとっても上司は怒らなかった。
特にこの片山弘樹課長は人望も厚く上からも下からも慕われていた。
一見、落ち着いているため無愛想に見えるが仕事に対しては誰よりも情熱を秘めていた。
端正な顔立ちのためプライベートでは多数の女性と関係を持っていたと噂されたこともあったが
今は親の決めた婚約者がいるためプレイボーイとしての噂を聞くことはなくなった。

「あぁ、二人とも女性だ。」

「え？可愛いですか？」お調子者の山田が聞いたら
「実際見たことはないが写真で見た限りではなかなかだったぞ」と片山課長は応えた。

するとその一言で周りの男性陣から「おぉお！」という歓声が沸き起こった

更に調子に乗った山田が聞いた。

「じゃぁ、年齢はいくつっすか？」