復讐の女神
涼は、立ち上がると「お父さん・・・?」と聞き返した。

それには応えず、片山父は二人に近づいていった。

なぜか、涼の隣には女の子がいた。
すぐにその子が行方不明の女の子であると察しがついた。

片山父は一言だけ「お前がその子を連れ出したのか?」と涼に尋ねた。

「違う、ゆりが・・・」

ゆりが応えようとするのを遮り、片山父は怒りを露わにした表情で
涼に言った。

「お前は何度私を失望させればいいんだ。」

「すいません!お父さん!!」

そう言うと、怯えたように涼はその場で土下座をした。

「ごめんなさい、お父さん!もう、しません!
悪いとこもなおしますから!許してください・・・」

最後は泣きながら涼は片山父に誤った。

ゆりは、涼のひれ伏す姿に驚き、どうしていいか分からず戸惑った。

すると、片山父は冷たく言い放った。
「何をしても無駄だ。お前は最初からうちに来なければよかったのだ。
消えろ。
もう二度と私の前に姿を現わすな」

するとゆりの腕を掴み、持ち上げるとゆりを立たせ
涼を一人残し、ゆりを引っ張るようにその場を後にした。

「嫌だ!離して!おじさん!離してよ!」

そのまま、車に戻ると片山父はゆりを車に乗せた。

「あれ?ご子息は見つかったんですか?」

「早く、車を出せ」

「嫌だー!まだ、涼くんがいるのに!出しちゃダメーー!」

「早く出せ」

ゆりの叫びも虚しく、そのまま車はゆりの家に向かって行った。
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