復讐の女神
ゆりは、ふらふらしながらやっとの思いで自分の部屋に辿り着いた。

ゆりは、ベッドの上に倒れるように崩れると
ずっと我慢していたものを放出させた。

復讐が失敗した。
森村にはバレなかったのは幸いしたが、片山課長とはもう二度と
元の関係には戻れないと思った。

「元の関係ってなんだろう。そもそも私達は
偽りの関係だった・・・」

ゆりは、嗚咽交じりに涙を流した。
復讐が失敗して悔しいのか、
片山課長に愛されてないと知って悲しいのか
もはやゆりには分からなかった。
分かりたくもなかった。

今のゆりにとって、一番誰が大切なのか
知るのが怖かった。
涼の顔が浮かんでは消えた。
片山課長の顔が浮かんでは、彼の顔が頭から離れられなくて
何度も何度も涙した。

「お願いだから止めてよ・・・。
なんであいつの顔が浮かぶのよ・・・」

ゆりは苦しくて泣いた。
自分を叱りたいくらい思いっきり泣いた。
そして次第に泣き疲れ、ゆりはそのまま寝入ってしまった。
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