復讐の女神
次の日、昼休憩を知らせるチャイムが鳴るとゆりは一柳から声をかけられた。

「実は、みんなと一緒にお昼を食べに行くんですけど七瀬さんもどうですか？」

ゆりは、申し訳なさそうに「あ、一人で食べたいので」と応えると
「あ、そうですか。」とさほど気にする様子もなく一柳は素っ気なく応えた。

「せっかく誘ってくれたのにごめんなさい」

「あー大丈夫ですよ！全然！もし、興味があったらいつでも声かけてくださいねー」と言って
そそくさと女性陣に紛れて一柳はその場を後にした。

声を掛けることは今後もないであろうと心の中で思ったゆりだったが
鞄の中からお弁当を取り出すと気にすることなく自席で昼食を食べ始めた。

すると星にも誘われたけど同じ理由でゆりは断った。
星は少し寂しそうな顔をしたのでゆりは申し訳ないと思ったが
どうしても苦手な子と一緒にいたくなかったので気にすることなく昼食を再開した。

「一人で食べてるんですか！？」
驚いた山田が声をかけてきた。

「あいつらー誘わねーのかよ」と独り言のように山田が言ったので
「いえ、違うんです！私が一人で食べたいと言ったんです！」とすぐさまゆりはフォローした。

「そうですか。七瀬さんがそう望むなら・・・」とそれ以上は何も言わず
山田は席に着いた。

ゆりは、お弁当を片すと読書を始めた。
営業から戻ってきた石井がその光景を見て驚いていた。

「あ、お疲れ様です。」

「お疲れ様ですって、え？お昼食べないんですか？」

「もう食べましたよ。」

「あ、そうなんですか。本・・・読んでるんですか？」

「えぇ、好きなので・・・」

「そうですか」

石井は普段営業中は外で食べることが多かったが上司に報告したいこともあり
今日は急ぎ事務所に戻ってきた。
今後も七瀬さんが一人で食べるのであれば俺も今後は自席で食べようかなと彼はふと思った。

石井が席を外した後、今度は昼食を食べ終えた太田が戻ってきた。
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