復讐の女神

迫られた選択

片山課長はゆりを見下ろすと、ゆりの瞑った目から涙が溢れ落ちるのを見た。

「ゲームオーバーだな」

片山課長は冷たく言い放った。

ゆりは、目を開け彼の顔を見上げた。

彼は冷めたような目でゆりを見下ろすとこう言った。

「好きでもない男に惑わされるのは
愚かな女のすることだ」

ゆりはその言葉にハッとした。
かつて、ゆりと片山課長がbarでサシ飲みをした時に
ゆりが彼に言ったセリフだった。

「私は・・・バカだ・・・」

ゆりは、そう呟くと全身の力が抜け、その場にしゃがみ込んだ。

ゆりはそのまま嗚咽交じりに涙を流した。

片山課長は暫くその光景を見下ろしていたが、
踵を返すと扉に向かって歩き始めた。

扉の取っ手に手を掛けた瞬間、
後ろから呻き声がしたと同時にドサッと倒れる音が聞こえ、
片山課長は後ろを振り返った。

見ると、ゆりが自分の胸にナイフを刺して倒れたところだった。

「ゆり!!!」

片山課長は、ゆりを抱き抱えるとゆりを揺さぶった。
「おい、ゆり!しっかりしろ!ゆり!」

ナイフが刺さった胸から血が滲むのを見て、すぐさま片山課長はスマホで救急車を呼んだ。


「ゆり!! ゆり!!!」

何度も彼に名を呼ばれたが、ゆりは意識が遠のいていたため
彼の声が耳に入ることはなかった。
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