復讐の女神
私たち、一緒になれないの?

出かかった言葉をゆりは飲み込んだ。

一度、彼を殺そうとしたゆりを誰が愛すだろうか。

ゆりは、引き止めることも出来ずただ彼が立ち去るのを見守った。

すると看護婦さんが部屋に入って来て
「具合はどうですか?」と尋ねてきた。

「大丈夫そうです。先ほど目覚めましたので。
手術が成功して本当に感謝しております。」と言って
片山課長は立ち去ろうとした。

「幸いにも急所が外れてたので一命は取り留めたと
医者も言っておりました。本当に奥さんが無事で良かったですね」

「妻ではなく、会社の部下です。それでは失礼します」

そう言うと片山課長は病室を去った。

看護婦さんは気まずそうであったが、ゆりの方を見ると
「いやだ、ごめんなさいねー。実は、さっきの方があまりにも必死に
患者様の名前を呼んでいたものだからつい夫婦かと思ったんですよ。
会社の部下でしたかー」と応えた。

ゆりは、苦笑いになると「でも、彼には綺麗な婚約者がいますので」と応えた。
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