復讐の女神
「あ、はい。最後の挨拶に・・・」

「別にわざわざいいのに」

「いや、最後ですから」

「人の楽しみを邪魔してまで言いに来るなって意味だよ」

「す、すいません・・・」

「・・・・安静にしてなくて大丈夫なのか?」

「はい。大分治癒したんで大丈夫です。ご心配おかけしました。」

ゆりは、片山課長を見上げると「今までお世話になりました。
明日田舎に帰ります」と言った。

すると片山課長はテーブルに腰掛け、
ゆりの報告を聞き流すかのように言ってきた。

「明日、婚約パーティーを開く。七瀬さんにも是非来て欲しい」

七瀬さん・・・という呼び方にゆりは胸がチクンと痛んだ。

「嫌だと言って断ったら?」

「絶対来い」

彼の命令口調にゆりは、腹立たしくなり
ゆりは言うつもりじゃなかった言葉を言ってしまった。

「私の気持ち分かってて言ってるの!?
離れろって言ったのはそっちじゃない!!」

すると、片山課長は悪びれることなく
「復讐は失敗したんだ。こういう展開になることくらい分かってたことだろ?」
と言ってきた。

「明日18時から俺の家で婚約パーティーがある。
住所は分かってるだろ?」

復讐相手の家だから調査済みだろという意味を込めて言ってきた。

ゆりは、「行かないわよ」と言うと、この場を去ろうとして
踵を返した。すると、
片山課長に手首を掴まれた。

「痛っ」

「絶対来いよ」

ゆりは、彼の真剣な顔に一瞬戸惑ったが
彼の手を振り払うとそのまま
彼を振り返らずにその場を走り去った。
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