復讐の女神

飲み会で急接近！？

聳え立つビル群、忙しそうに行き交う人々の群れと道路を横断する車の列。
休憩するときはこのビルの外が一望出来るガラス張りのラウンジで
カフェラテを飲むのがゆりのお気に入りだった。

今日も窓の外を眺めながらカフェラテを飲んでいた。

忙しそうに行き交う人々を見て彼女は思っていた。
この中で果たして今この時を充実に生きている人はいるのだろうか。
一生懸命に働いている振りをして本当は心の中では違うことを考えてる人ばかりじゃないだろうか。
あの時の幼き彼が一番純粋に夢を持っていた、なぜその彼がいなくて
夢を持たず生きている人がこの世にはいっぱいいるんだろうと思った。


「なかなか、良い景色だろ」

突然声をかけられて驚いたゆりは、慌ててその方を振り返った。

見上げると片山課長が片手にコーヒーを持ちながら
ゆりの背後に立っていた。

「あ、はい。そうですね」

「休憩中には良い場所だな」

「あ、はい」

彼は、一口コーヒーを飲むと「仕事の方は慣れたか？」と聞いてきた。

「あ、はい。だいぶ」

「それは良かった。見ている限りだと周りとも大分打ち解けてるようだしな」

「あ、はい。おかげさまで・・・」

「・・・・」

「・・・・」

彼は、なぜ話をかけてきたのだろうか。
自分を気にかけてくれたのだろうかとゆりは思ったが
逆に気まずくなるのなら話しかけてくれなくてもいいのになとさえ思った。

ゆりは、頑張って頭をフル回転させ、
何か話題はないかと考えた。

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