復讐の女神

「なんすか、石井先輩。それ、嫉妬っすか？
男の嫉妬は醜いっすねー」

「うるせーよ！いいからお前は若者チームとつるんでろ！」と言って
石井は右方向を指差した。

既に右側奥では若者社員が集まり、山田を筆頭に大分盛大に盛り上がっていた。
ゆりと同じ日に入った星も既にその輪の中に馴染んで騒いでおり、
ゆりはその光景を見て自分は遅れを取ってると感じて少し落ち込んだ。

「じゃぁ、石井先輩も行きましょうよー」

「えー？俺も？」

少し迷った石井だったが
ゆりが笑顔で「私は大丈夫ですので是非行って来てください」と言ったので
石井は「じゃぁ、すいません」と言うと

「じゃぁ、行ったるかー！」と大声を上げ、近藤と一緒に若者チームの輪の中へと入っていった。

すると一柳がゆりの隣に座り、気づくとゆりの周りには
女性陣が集まっていた。

「七瀬さん、肌綺麗ですけど何かしてるんですかー？」

「あ、特にはなにも」

「えーそんなはずないでしょー。絶対なんかしてそー」

「いや、本当になにも。強いて言えば日頃のケアを怠らずにいるとか・・・」

最初はガールズトークに花を咲かせていたが
次第に古谷と一柳を中心に最近のトレンドや会社の噂話で話が盛り上がり、
ゆりは段々話題についていけず疎外感を感じるようになった。

すると、その時だった。

「お待たせしましたー！」
「おー待ってましたー！！」

声の盛り上がってる方に顔を向けると
新たに見たことない2人の女性が入ってきた。

「紹介します。総務の越川さんと経理の森村さんです」と
片山課長が紹介すると二人は挨拶をして、
越川さんは古谷さんのところに、森村さんは片山課長の隣に腰掛けた。

「えー越川さん久しぶりですー！どうしたんですか？」

「いえー歓迎会だって聞いて是非良かったらと挨拶に来てくださいと
片山課長に誘われたんですよー」

「えーそうなんですねー」

すると越川はゆりの存在に気付き
「私、越川って言います。総務なのであまり関わりないと思いますが
よろしくお願いします。」と愛想よく挨拶をした。