復讐の女神
ゆりも姿勢を正し、越川の方に向き直すと
「あ、はい。七瀬と言います。こちらこそよろしくお願いします。」と
丁寧に挨拶をした。

「噂に聞いていたけど本当に可愛い人ですねー。」

「でも、こう見えて意外と年いってるんですよ」と古谷が越川に耳打ちしたので
「えーいくつですか?」と越川はゆりに質問をした。

「36です」

「うっそ!やだー私よりも年上じゃないですか!若ーい!」と
越川は驚きを露わにした。

ゆりはいつも本当の年齢を応えた後の人の反応がどうも苦手だった。

「えー何してるんですか?どうしたらそんな若作り出来るんですか?」

「いえ、特には・・・」

「えーそうなんですねー」

すると、越川はゆりに興味を持たなくなったのか、ゆりには話しかけなくなり
次第にまたゆりは疎外感を感じるようになった。

そんなとき、ゆりはふと片山課長の方を見てみた。
先ほど紹介された経理の森村さんとの会話が雑音混じりに
ゆりの耳に入ってきた。

「確か、森村さんはお酒は飲めないんでしたよね」
「いえ、飲めますよ。ワインとか良く飲んでます」
「え?そうなんですか?何飲まれます?」
「では、赤ワインを・・・」
「え?大丈夫ですか?」
「はい、大丈夫ですよ」

森村はゆりとは違いロングヘアーに小麦色の肌をした艶かしさのある女性だった。
美男美女の二人を見てるとそこだけがまるで他とは違う甘美なオトナの世界を連想させるのだった。
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