復讐の女神
「その辺にしとけ」

恐る恐るゆりが目を上げると
片山課長が石井の左二の腕を掴み上げ制していた。

「片山課長・・・」

「七瀬さんが困っているだろう」

あまりの突然の出来事に
周りも一斉に二人の光景を見た。

「酔いを覚ましてこい」

そう言うと片山課長は元の場所に戻った。

「くそ・・・」

石井が悔しそうに舌打ちをした。
ゆりが心配そうにその様子を見守っていると
石井はゆりの視線に気付いたのか
ゆりの方を一瞥して顔を背けた。

「すいませんでした・・・」

彼のか細い声に驚いたゆりは
「い、いえ」と応えると

「ちょっと、酔いをさましてきます」 と言って
ゆりに背を向けるかたちで石井はその場を後にした。

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