復讐の女神
「だって、さっきの歓迎会での二人の会話を聞いてて
おかしいと思ったんですもん。
二人は敬語を使って話してるし、片山課長は森村さんがワイン飲めるって知らなかったし」

「あーそんなことですか」

石井は頭を掻くと「そういえば前に一柳が言ってたんですけど・・・」と言ったので
ゆりは彼の方に視線を向けると
「森村さんは親が決めた婚約者らしいっすよ」と石井は言った。

「そうなんですか?」

「あぁ、多分そうっす。二人でいるところもあまり職場で見たことないですし。
まぁ、部署が違うからっていうのもあると思うんですけど。
って、なんでそんなこと聞くんですか?」

「え!?」

ゆりの様子を伺うように石井は無表情でゆりを見つめた。

「片山課長のことなんでそんなに気にするんですか?もしかして・・・
片山課長のこと好きなんですか?」

「まさか!」

ゆりは大きく手を仰いで否定した。

「違いますよ!ただ・・・」

「ただ・・・?」

「気になるんです」

「え?」

「それだけです」

「なんか、随分と意味深じゃないですか?」
疑うように石井が聞くと
「そんなことないですよ!ただ片山課長って
ちょっとミステリアスなところあるから気になるなーって思っただけ」と
ゆりは適当に誤魔化した。

「本当ですか?まぁ、好きになっても片山課長は婚約者がいますし、
やめといた方が絶対良いですよ」

「だから、ないですって!」

ゆりが何度も否定するので石井はやっと安心して笑みがこぼれた。

「じゃぁ、今日は、いっぱい飲みましょう!」
石井が嬉しそうにそう言うとゆりは遠慮がちに
「ほどほどに飲みます。。」と応えた。
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