復讐の女神
正午となった。
七瀬ゆりは、今日勤めることとなったオフィスビルに到着した。
ビルに入った瞬間、ゆりは戸惑った。
建物の中は広く、お昼だというのに人で混雑いていたため
エレベーターの位置が分からなかった。

周りを見渡しながらエレベーターホールを探した。
その際、行き交う人の何人かがゆりの方を見ながら通り過ぎて行った。
ゆりも何人かの男性と目が合うなと思ってはいたが気にすることなく
奥の方まで足を運んだ。

やっとのことでエレベーターホールを見つけ立ち止まった。
既にエレベーターの前で待っていた男性陣が一斉にゆりの方を振り返った。
ゆりは気にすることなくエレベーターが降りてくるのを待った。

ゆりの容姿は美しかった。
黒髪のボブヘアーと透き通った白さの肌、黒目がちな瞳、うっすると赤くなった頬と赤く濡れた唇。
清楚で品のある日本人形を思わせる女性だった。

チーンと音が鳴りエレベーターの扉が開いた。
乗り込むとゆりは25階のボタンを押した。
25階に到着し、ゆりがエレベーターから降りると後ろから男性に声を掛けられた。

「もしかして今日から働く方ですか？」

後ろを振り向くと自分よりも若い男性がゆりに人懐っこい笑顔を向けながら聞いてきた。

「あ、はいそうです。」

そう言うとパッと山田の表情が更に明るくなった。

「や、お待ちしてましたよ。ささどーぞ」と言うと
山田はゆりを案内した。
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