復讐の女神
すると視界が急にぐるっと回転し頭が重くなったと思ったら
石井は猛烈な眠気に襲われた。

石井はそのままゆりの方に倒れ込むと
眠りについてしまったのだった。

翌朝、起きると石井はベッドの中で寝ていた。
見覚えのない天井が真上に見え、身体には布団が掛かっていた。

重い頭で考えていると「起きましたか？」と声がしたのを聞き
石井は昨日のことを思い出したのだった。

「七瀬さん、俺・・・」

「お目覚めですか？昨日は大分飲んでいたようですね。
あの後すぐ眠ってしまったのですよ」

朝から太陽のように眩しすぎるくらいの笑顔でゆりが応えた。

「んぁー寝潰れるなんてマジ情けないっす。すいません」

「いえ。もう少しで朝食が出来ますのでシャワー浴びてきてはどうですか？」

「あ、良いんですか？」

「はい。タオルは用意してあります。着替えはないですが・・・」

「大丈夫っす。スーツ着るんで」

ゆっくりと石井は立ち上がるとゆりに案内され
脱衣所の方に向かった。

しばらくして、石井が脱衣所から出てきた。

テーブルの上に朝食を並べていると
後ろから石井に声をかけられた。

「ありがとうございました。お陰でスッキリしました。」

ゆりは振り返ることなく「いえ、それは良かったです。」と応えた。

「タオルはどうしたら良いっすか？」

「脱衣所に置いておけば後で洗濯しますので」

「じゃぁ、これもお願いしても良いですか？」

「え？」

ゆりの視界に脱がれたシャツが目に入った。

恐る恐るシャツを見せてきた彼の方を振り返ると
片手にタオルを持って頭を乾かしながら
上半身だけ裸の石井の姿が目に入った。

「さすがに昨日着てたシャツは着れないなぁと思って。
七瀬さん、替えとか持ってないですよね？」

ゆりの目に飛び込んできたのは腹筋が鍛えられた
石井の上半身だった。
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