復讐の女神

ゆりの強がり

週明け月曜日、営業先から石井が嬉しそうに事務所に戻ってきた。

石井はオフィスに入るとすぐに辺りをキョロキョロし、
「片山課長ここにいたんすね!」と言って
片山課長に近づいた。

「どうした?」

ちょうど書類に目を通していた片山課長が石井の方を向くと
石井は嬉しそうに「取りました!」と報告した。

「取ったとは・・・」

「ラ・フルール・ブランチェの案件受注しました!」

すると周りから歓声が沸き起こった。

「すごいじゃないか、石井。大したもんだ」

片山課長も嬉しそうに石井の労を労った。

「これから忙しくなるけど頑張れよ」

「はい!ありがとうございます!」

石井はお礼を言うと事務所を出て部長の報告へも向かった。

「何があったんですか?」

訳が分からなかったため、ゆりが思わず太田に聞くと
「デカイ案件取って来たんすよ!」と太田は嬉しそうに応えた。

「ラ・フルール・ブランチェっていうのはパリジェンヌの間で今話題となってる雑貨屋で
そこと契約が結べたってことですよ」

隣にいる一柳もゆりに教えてあげた。

「そ、そうなんですね!石井さん、すごい!」

人よりも遅れてゆりが喜んでいると
石井がまた戻って来て自席に着いた。

「石井さん、おめでとうございます!」

ゆりが石井に声をかけると石井は照れながら
「ありがとうございます!これから忙しくなると思うんで
七瀬さんもフォローよろしくお願いします」と応えた。

「はい!私も精一杯頑張ります」

ゆりも微力ながら大きな案件に貢献できることになったので
心から嬉しく思った。

石井はゆりの喜ぶ姿を見て可愛く思い、思わず
彼女の頭を撫でた。

「え?」

「一緒に頑張ろうな」

まるで年上の男性のような口の聞き方にゆりがびっくりして固まっていると
石井はプッと噴き出した。

「七瀬さん、いちいちフリーズしないでくださいよ。ほんのスキンシップじゃないですか」

石井はそう言うと仕事モードに切り替えた。

ゆりは、なぜか「あ、すいません」と謝ると彼女もパソコンに向き直り仕事を再開した。
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