復讐の女神

その光景を見ていた太田は「石井先輩、ちょっと」と言って石井を呼び出すと
二人でコソコソと喫煙所に向かった。

「なんだよ、いきなり」

「なんすか二人。いい感じじゃないですか？」

揶揄するように太田が言うと
「別にそんなことねーよ」と言って
照れ臭そうに石井は誤魔化した。

「もしかして先日の二次会の後、やっちゃったんすか？」

「は？」

「俺、山田から聞いたんすけど石井先輩、七瀬さんを送ったそうじゃないですか。
そのまま彼女の家に行って・・・」

「家には行ったけどやってない」

「え？そうなんすか？どうして？
石井さんなら絶対七瀬さんをモノにすると思ったんすけど・・・」

「俺が酒に酔い過ぎて。そうなる前に寝ちった」

「あーバカっすね」

「そう、バカ。って、おい！」

そしてタイミングを伺っていた山田も喫煙所に入ると
「俺はめぐっちょとやっちゃっいましたもんねー」と言って
意地悪そうにニヤッとしながらタバコを吸った。

「ゴホッ、え！？マジかよ！！」

石井は驚いて思わずむせた。

「お前、そんなに星さんに興味なさそうだったじゃねーか」

「それが意外と酔うと可愛くてさー。甘えてくるんすよ。
もともと顔も可愛いし、しゃべり方も呂律が回らなくて可愛かったら
そりゃもうやるっしょ！そのままめぐっちょの家でゴチになりました！」

自慢するように山田が言うと
内心悔しかったが冷静な顔して石井はタバコを吹かした。

「石井さんは失敗したんですってね。ちょっと聞こえてましたよ」

「うるせーよ、失敗とか言うな。」

「自分が酒にやられちゃうなんてねー情けないっすね」

「黙れっつーの」