復讐の女神
「今度、七瀬さんをサシ飲みに誘えば良いじゃないですかー」

「サシ飲みぃ?」

山田はふーっと煙を吐くと
石井に近寄って真顔で言い始めた。

「今度は七瀬さんを酒で酔わすんですよ。
飲み会の時はあんま飲んでなかったですけど
二人っきりだったらいっぱい飲ませられるでしょう。
酔っ払った七瀬さん、見たくないですか?」

そう言われて石井は酔ったゆりを想像した。

「ん、もう飲めにゃぁーい、い・し・い・さん」

酒を飲むと甘えるのだろうか。それとも

「んんーなんか苦しいの・・・石井さん、脱がして?」

もしかして色っぽくなるのか・・・。

想像しただけで石井はよだれが出そうなほど口に締まりがなくなった。

「うっわー、この人だらしない顔してるよ」

「そんなに七瀬さんラブなんすね」

石井はハッとするとタバコを消し、喫煙所を後にした。

「善は急げだな、ありゃ。」

「そうだな」

そう言って残された二人はタバコを吹かしながら
石井の背中を見送った。
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