復讐の女神
「お疲れです！」

「お疲れです！」

そう言って二人はアルコールを口に含んだ。

その時だった。ゆりはある異変を感じた。
いつも飲んでいるカルピスサワーより度数が高いように感じたのだった。

「いやーやっぱ仕事後の生はうめーなー！」

石井が美味そうにビールを飲んでいたので
ゆりは、それ以上疑問に思うことなく石井の方に意識が向いてしまった。

「石井さん、営業お疲れ様です。そして、受注おめでとうございます！」

「いえいえ、ありがとうございます。とりあえず今日商品の乗った船が
フランスを出港したみたいなんですよ。その後色々手続きとかあって・・・」

「あ、そうなんですね」

「そうそう。まぁ、仕事の話はやめましょう。今日は、俺、
七瀬さんのことが知りたくて呼んだんです。」

「私のことを？なんで？」

「いやー七瀬さんって普段自分の話とかしないじゃないですか。
プライベートは何してるのかなーって気になりまして。
あ、タバコ吸って良いですか？」

そう言うと石井は胸ポケットからタバコとライターを取り出した。
ゆりは、近くにあった灰皿を持ち上げると石井の方に置いた。

「あざっす」

石井は、タバコを吸い始めるとそれを味わうように
気持ちよさそうに煙を吐いた。
その色っぽい表情にゆりはドキッとしてしまい、
誤魔化すようにカルピスサワーを一口飲んだ。

アルコールがゆりの身体を蝕んでいくかのように
次第にゆりの身体に変化が起き始めていた。

最初はゆっくりとゆりの頭が重くなり
思考が出来なくなってきた。

「プライベート・・・ですかー？」

「はい。そうです。休日とか何してるんすか？」

「そんなのどうだって良いじゃないですかー。あはははー」

ゆりは突然陽気になり笑い出した。

「七瀬さん？」

石井はびっくりしてゆりの方を見つめた。
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