復讐の女神
片山課長はゆりをお姫様だっこした状態で
そのままホテルを後にし、タクシー乗り場まで歩き始めた。
行き交う人々の注目の的となっても片山課長は臆することなく
そのまま堂々と歩き続けた。

時々、道行く女性達が片山課長を一目見て
自分もあんな素敵な男性にお姫様だっこされたいと思うのだった。
片山課長はピシッとスーツを着こなした状態で堂々と歩いていたため
ゆりを運ぶ姿も大分様になっていたのだった。

タクシーを拾い、ドアが開くと
片山課長はゆっくりとゆりを座らせ、隣に自分も腰掛けた。
行き先を運転手に告げ、間もなくタクシーは発車した。

数十分するとタクシーは、ゆりの家から程近い公園に停車した。
片山課長はそこでゆりを担いで降りると、そのまま公園のベンチにゆりを座らせた。
しばらくするとゆりは片山課長に揺り起こされた。

「大丈夫か?」

鈍い意識の中、ゆりが重い目を開けると
いつも会社で見ている片山課長の顔が目の前にあったので
思わず驚いて目を見開き、眠気もどっかに吹っ飛んでしまった。

「な、なぜ片山課長が・・・。あ、ここはどこ?」

視界が鮮明となり、意識もはっきりとしてくるが
何がどうなってるのだか分からずゆりは困惑した。

「とりあえず、これ飲め」と言って渡されたペットボトルの水を
ゆりは受け取り、一口飲んだ。

「なんで、片山課長がいるんですか?私、石井さんといたのに・・・」

水を一口飲んだ後、すかさずゆりは片山課長に質問した。

片山課長はゆりの隣に腰掛けると
経緯を包み隠さず話し始めた。
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