復讐の女神
ゆりは、家に入ると台所で手を洗った。
すると窓枠部分に睡眠薬の入った小瓶が置いてあるのが
目に入った。

「これを使うまたとないチャンスだったのに・・・
今日は無理だったか」

ゆりは、残念そうに言ってため息を漏らした。

「今度はいつ決行出来るか・・・。
もうちょっと彼に近づかないと無理かな・・・」

ゆりは思案した。
ゆりとしては、情が移り片山課長を殺せなくなることだけは
なんとしても避けたかった。

ゆりは、手を洗い終えると
胸の前でぎゅっと結び、目を閉じた。

「涼くん、もうちょっとだからね。
もう少しで復讐が果たせるから、もう少しの辛抱よ。」

ゆりの瞼の下から一筋の涙が流れた。

「涼くんの無念は私が果たすから・・・」

ゆりは、手の甲で涙を拭うと
シャワーを浴び、パジャマに着替えた。

ベッドの上に仰向けになると
そのまま目を閉じ眠りについた。
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