復讐の女神
第2章

涼くんとの出会い

ゆりは、夢の中で幼い頃の出来事を思い出していた。

田んぼが広がる田舎町にゆりは昔住んでいた。

当時6歳だったゆりは、親に頼まれ急いで家に帰ってきた時だった。
家の鍵が開いているのを不審に思い、恐る恐る家の中に入って行った。

するとリビングの方から音がして恐る恐る台所に近づいて行くと
知らない男の子が冷蔵庫の中を漁っているのが目に飛び込んできた。

「あ、あなたは誰！？」

ゆりが驚いて声を上げるとその少年は近くにあった包丁を手に取り、
ゆりに向けて構えた。

それが涼とゆりの初めての出会いだった。

「も、もしかしてコソ泥？」

ゆりが驚いて後ずさりをすると
「逃げるな」と涼は言った。

「殺されたくなかったら言う通りにしろ」

「こ、ここで何をしてるの？」

「この冷蔵庫の中は野菜ばっかだ。なんか、食べられるものよこせ！」

「お腹が空いてるの？」

「なんかよこせ」

ゆりは決心すると彼に近づいて歩き始めた。
驚いた涼が包丁を構えながら彼女の出かたを伺っていると
ゆりは臆することなく冷蔵庫に近づき「何が食べたい？カレー？それともスパゲティ？」と
言って冷蔵庫の扉を開けた。

「え？」

「何か食べたいんでしょ？何が良い？」

予想外の展開に涼は一瞬戸惑ったがすぐ「カレー」と言うと
ゆりは笑顔になって「まかせて！」と応えた。

ゆりは、ジャガイモを冷蔵庫から取り出すと
彼に手を差し伸べて言った。

「包丁・・・」

「え？」

「野菜切るから包丁を貸して？」

ゆりに対してまだ半信半疑ではあったが
ゆりのどこか優しげで真剣な眼差しに
涼は素直に包丁を渡した。
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