復讐の女神
「でも、悪さをしただけでこの町に置きざりにするなんてひどいよ」

まだ自分と同じ年くらいの男の子がこんな何もない田舎町に
1人取り残されるなんてゆりは信じられなかった。

「しょうがないよ。僕は本当の子じゃないから」

「本当の子じゃないって?」

「血が繋がってないんだ。俺は貰い子だから。」

「え・・・・?」

「子供が出来なかったらしいんだ。だから施設で赤ちゃんを見つけて
僕を引き取った。けど、僕が3歳の時に弟が生まれたんだ。
それからだよ。僕は親にとっていらない子供となった・・・」

「そんな・・・」

「弟だけが可愛がられて、弟にだけおもちゃを買ってもらえて
僕は悔しくなった。だから弟からおもちゃを奪ったんだ。
そしたらお父さんに怒られて、僕だけ残して行ってしまった。」


「そんな、ひどい・・・」

ゆりはあまりの衝撃に言葉を失った。

「だから、僕は当分1人で生きなくちゃいけないんだ。
僕が反省するまできっとお父さんは戻って来ない」

そう言うと涼は体育座りになり顔を膝の中に埋めた。

ゆりは、孤独な少年を放っておくことなんて出来ず
彼のため何か策を考えた。
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