復讐の女神
「今は婚約者がいるから落ち着いたって話です。
あ、婚約者って経理の森村花澄さん!超美人なんですから!」

「へ〜」とゆりも嬉しそうに声を上げた。

「それに片山課長ってうちの社長のご子息なんですよ」

「そうなんですか!?」

「でも、片山課長はコネ無しで入ったんです。今の地位だって彼の実力で得た訳だし、
そういうとこ格好良いですよねー」

「へぇ、そうなんですね。すごいです」

ゆりが関心を示した表情を浮かべると、一柳は意地悪そうに
「もしかして片山課長に興味持ちました?」と聞いてきた。

「いえ、私はその・・・好きな人いるんで」

「え!?だってさっき彼氏はいないって」

「彼氏はいないけどずっと前から好きな人はいるの」

「へー・・・」

会話が終わるとゆりは顔を背けた。
思わず一柳はその美しい横顔に見惚れてしまった。
けど、気を取り直すと「事務所に戻りましょうか」と言って
立ち上がった。

「はい!」

ゆりも返事をすると二人は事務所に向かって歩き始めた。
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