復讐の女神
ゆりは、片山課長の方を向きながらはっきりと言った。

「好きでもない男に惑わされるなんて
愚かな女のすることです」

そう言われて片山課長は、ハッと笑った。
もう一度片山課長がゆりの方を向くと
ゆりは真剣な顔で「私は理性が強い方なんです」と応えた。

「あっそ」
くだらないとでも言うように片山課長は素っ気なく応えた。



飲み会が終わり、森村が会社の人と駅に向かっていると
高層ビルから片山課長が出てくるのを見かけた。

こんなところで会えるなんてと嬉しく思った森村は
声をかけようとして彼の方に近づこうとしたが
彼の後にゆりがビルから出て来るのを見かけて、
森村は足を止めた。

「ねぇ、あれ、片山課長じゃない?なんで七瀬さんと一緒にいるの?」

「さ、さぁ。」

森村は、どうしてか分からずそのまま彼らの行動を目で追うことに留めた。

2人は駅に向かうとそれぞれの方面に別れて歩き始めた。

森村はその光景を遠くで見ながら悔しそうに唇を噛んだ。
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