復讐の女神

26日の土曜日、朝目覚めるとゆりの携帯に何十件と
石井からの着信があった。

ゆりが驚いて掛け直すと「納品はどうしたんですか！？」と
聞かれた。

「納品？明日で手配を組んでますけど・・・」

「今日ですよ！今日！予定時刻になっても商品が届かないから
おかしいなと思って電話したんです！七瀬さん、今日の間違いですよ！」

「えええええ！？」

ゆりは驚いて声にならない声を上げた。

「ど、ど、どうしましょう」

「なんとかなりませんか？今日届かないとまずいんですよ。
明日オープンなんで・・・」

ゆりは、どうしていいか分からず顔面蒼白し、パニックに陥り、思考が停止した。

「な、なんとかって・・・どうすれば・・・」

「とりあえず手配組み直せないですか？」

「今日の明日なんでそれは厳しいかと・・・」

「無責任なこと言わないでくださいよ！誰のせいでこうなってるんですか！
とりあえず俺、現状報告して謝りに行かないといけないので
すぐ片山課長にでも相談して対応お願いします！」

そう石井が言い終えるとプツンと電話が切れた。

「どうしよう、石井さんもキレてるよ・・・。どうしよう」

ゆりは、携帯の電話帳で片山課長を検索すると
すぐに片山課長に電話をかけた。

コール音が鳴り響く。なかなか、片山課長が出ないので
ゆりは焦りながら心の底から願った。

「お願いだから、出てください。お願いします・・・」

すると8回目のコールで通話になった。

「もしもし・・・」

彼の落ち着いた低い声に
ゆりは一瞬で安堵に満たされた。

「片山課長！」

「七瀬さんか？どうしたんだ？」

「あ、あの・・・大変なことになりました！！」