復讐の女神
二人が事務所に戻ると「只今戻りました」と声をかけてゆりは石井の隣に腰掛けた。

ゆりが戻ってきて嬉しくなった石井は
「あ、じゃぁ 、説明しますけど大丈夫ですか？」と
少し顔がにやけながら言った。

「はい、お願いします」
ゆりがそう応えると
「じゃぁ、俺のパソコンで説明するので近くに寄ってください」と言って
パソコンの前で姿勢を正した。

ゆりは、椅子を彼に近づけて座ると彼のパソコンを凝視した。
思っていた以上の至近距離に驚いたのは石井の方だった。

やべぇ、意外と近いぞ。
そう思うと急に石井は火照ったように顔は赤くなり
心臓も跳ね上がるようにドクドクと早鐘を打ち始めた。

「あ、じゃぁ、七瀬さんのすることは主に俺のフォローで」
そう言った瞬間、ゆりは彼の方を振り向いた。

お人形さんのようなパッチリとした瞳が石井を捕えた。
「お、俺はあまり事務所にいなくて、その営業なので・・・」
彼はしどろもどろになって説明した。
彼はゆりに見つめられて、平常心が保てずにいた。

「俺のかわりに営業報告を書いてもらうんですけど、これがそのフォームで」
そう言ってワードの画面を開くと彼はゆりの射抜くような熱い視線から解放された。

「一応、前にも書いた時がこんな感じで」
ふと彼は説明しながらゆりの横顔を眺めた。

美しいEラインの横顔に長い睫毛、高い鼻筋に形の良い唇。
至近距離にいても彼女の肌は透き通ってて綺麗な白い肌をしていた。

本当に36か？と思うほど、ゆりの顔は美しかった。
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